ホームページ制作費の相場より先に決めること|「いくら出すべきか」を回収から逆算する

「ホームページ制作費の相場はいくらですか」——尼崎でこの仕事をしていると、ほぼ毎回聞かれる質問です。

先日も、開業準備中の方から同じ質問をいただきました。制作会社から60万円台の見積もりが出ており、高いのか安いのか判断できない、とのことでした。

結論から言うと、相場を基準に考えると、たいてい判断を誤ります。 見るべきは相場ではなく、そのホームページが何ヶ月で費用を回収できるかです。

尼崎でWeb制作をしている立場から、実際の相談例をもとに判断基準を整理します。


尼崎で実際に見ている価格帯

まず、実際にどのくらいの金額が動いているかを整理します。

内容金額目安備考
一般的なホームページ制作60万〜80万円相談者の多くがこの帯の見積もりを受け取っている
当方のホームページ制作220,000円(税込)5ページ完結型・更新費用1年分込み・制作期間約2ヶ月
LP制作100,000円〜内容量により変動

見積もり相談を受けていると、HP1本を60万〜80万円で作ってもらっている人が本当に多いと感じます。これが世間で言う「相場」に近い数字です。

金額の幅を生む主な要因は、ページ数と機能の有無です。静的な数ページの紹介サイトと、予約フォームや会員機能を持つサイトでは、必要な工数がまったく違います。

金額だけを見れば幅があります。ただ、この幅がそのまま「自社が出すべき金額」を教えてくれるわけではありません。次の章で理由を説明します。


相場から決めると、たいてい高い方に寄る

相場を基準に予算を決めると、なぜ判断を誤るのか。

理由は、相場という物差し自体に、金額を高く見せる作用があるからです。

開業準備中は、内装・什器・在庫と、数百万円規模の支出が同時に並びます。この中では、60万円は相対的に小さく見えてしまいます。

しかも「相場の範囲内だから妥当」という判断は、実は何も判断していません。相場は他の人がいくら払ったかの集計であり、自社がいくら払うべきかの答えではないからです。

実際、業界の知人やフリーランスに聞けば、相場の数字自体はすぐにわかります。問題は、その数字を知ったあとにどう判断するかです。

金銭感覚が麻痺した状態で相場を見ると、高い方に流されやすくなります。冷静な判断のためには、別の物差しが必要です。


いくら出すべきかは、回収から逆算する

ここが本題です。予算は、相場ではなく「回収できるか」から逆算します。

考え方は単純です。まず、今のホームページ(またはこれから作るホームページ)が、次のどちらの状態かを確認してください。

  1. 名刺代わりの「看板」……検索されても見られるだけで、問い合わせにつながっていない
  2. 販促の「経路」の一つ……実際に問い合わせや来店のきっかけになっている

多くの相談者は①の状態で、②に変えることを目的にホームページを作り直します。

ホームページが1件でも問い合わせの経路になれば、その分だけ回収に近づきます。逆算の手順は次の通りです。

  • 自社の商品・サービスの平均的な客単価を書き出す
  • 「何件の問い合わせ・成約があれば制作費を回収できるか」を割り算する
  • その件数が、今の営業活動の中で現実的かを確認する

例えば客単価3万円の商売で、月2件の新規問い合わせが見込めるなら年間24件、72万円分の売上インパクトです。制作費が22万円なら、1年以内の回収は十分に現実的な水準だとわかります。逆に月0.5件しか見込めないなら、先に問い合わせを生む導線を整える方が優先度は高くなります。

実際にあった別の相談では、古くなっていたSEOの設定を整理しただけで、問い合わせが月1〜2件増えた例があります。効果が出るまでは2ヶ月前後かかりましたが、それ以降は年間で12〜24件の商談機会が生まれた計算になります。デザインを刷新したわけでも、広告を出したわけでもありません。

大きな投資をしなくても、経路として機能しさえすれば回収は現実的な射程に入ります。

客単価が正確にわからない場合は、ざっくりとした概算で構いません。大切なのは正確な金額を出すことではなく、相場ではなく回収という物差しで一度考えてみることです。相場ではなく、この「回収できるか」を先に確認してください。


総額は「月額」ではなく「5年」で見る

もう一つ、判断を誤りやすいポイントがあります。保守費用の見せ方です。

プラン月額換算5年総額
月額1万円のプラン10,000円600,000円
月額2万円のプラン20,000円1,200,000円
当方の保守(年額99,000円・税込)約8,250円495,000円

月額表示は、1ヶ月分だけを見ると小さく感じます。しかし本当に比較すべきは、5年など長い期間の総額です。

当方の保守契約では、1年を通して軽微な修正を件数の制限なく対応しています。SEOの相談も、都度知識と合わせて提案する形です。年額にしているのは、この継続的な対応を前提にしているためです。

保守を年額にしているのは、依頼者側にとっても、更新のたびに都度見積もりを取る手間がなくなるためです。金額を確定させた上で、必要な時にすぐ相談できる状態を保つ、という位置づけです。

なお、公開後の更新をどこまで自社で行い、どこから外注するかで悩む方も多くいます。この切り分けについては、ホームページの更新、社内でやるべきか外注すべきかで判断軸を整理しています。


逆算した予算が見積もりより低かったら

回収から逆算した予算が、実際の見積もりより低いこともあります。その場合、削る順番が重要です。

  1. まず削るべきは「あれば良い」機能……予約フォームの高度なカスタマイズなど、必須ではない部分
  2. 次に検討するのは制作範囲……ページ数を絞る、更新頻度の低いページは後回しにする
  3. 最後まで削らない方がいいのは、更新のしやすさ……自社で触れない作りにすると、後々の運用コストが増える

よくあるのが「原稿や写真は自社で用意するので安くしてほしい」という削り方です。

これは一見コストダウンに見えますが、実は安くなっていないことが多いです。依頼者側で一番揃わないのは、実は文章より写真です。写真が揃わないと制作が止まり、結果的に公開が遅れます。

写真の手配は、社内の人手が空いた時に、という優先順位になりがちです。優先順位が下がるほど、公開までの期間は延びていきます。

遅れた期間も、ホームページが経路として機能していない期間です。回収の観点では、削ったはずの費用よりも、この遅れ自体がコストになることがあります。


見積もりの妥当性が判断できないとき

相場ではなく、回収から逆算する。これが判断の軸です。

  • 今のホームページが「看板」で終わっていないか
  • 何件の問い合わせがあれば費用を回収できるか
  • 保守費用は月額ではなく数年の総額で比較する

この3点を確認すれば、見積もりが高いか安いかは、相場を調べるよりも早く判断できます。

数字がきれいに出しにくい場合でも構いません。見積書の金額を眺めるだけで終わらせず、一度この計算を試してみることをお勧めします。

それでも判断に迷う場合や、自社の状況に当てはめた試算を一緒に整理してほしい場合は、お気軽にご相談ください。

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